【自宅看取り】③旅立ちまで
自宅での看取りが始まります。
一人きりで看取ることは精神的負担が大きいので、頼れる人が近くにいると心強いです。
旅立ちのときまで
末期がんで痛みがある場合
在宅医と相談して、痛みのコントロールをしてもらいます。
強いお薬で痛みをコントロールするので、副作用でつじつまが合わなくなったり普段と違う言動をとったり興奮することがあります。そして、少しずつ反応が鈍くなり言葉を発することも少なくなります。
私のパートナーの場合は自宅に帰ってから3週間で旅立ちましたが、麻薬で痛みをコントロールしていたので会話ができたのは1週間ほどでした。その時はただただ一生懸命で過ぎてしまい、1分、1秒、一瞬一瞬をもっと大切にお喋りすれば良かったと悔やんでいます。
お別れの時が近づく
食事量がだんだん少なくなり、まったく口にしないこともあります。
⇒食べたいときに好きなものを少しずつ。
眠っている時間が長くなり、呼びかけにも反応がなくなります。
⇒聴力は最期まで残るので、話しかけたり好きな音楽を流しましょう。
呼吸が不規則になり止まることもあります。
痰がたまって呼吸のときにゴロゴロと苦しそうな音がすることがあります。
⇒このくらいになる時には訪問看護師さんの訪問も頻繁になっているので、変化については随時看護師さんに伝えましょう。
緊急時の連絡
事前に連絡方法については打ち合わせがあるので、いざという時に慌てないように目に付く場所に貼りだしておくなどをしておきましょう。
人生最期の時に温かく寄り添う
その時が迫ってくると、平常心でいられることは難しくなります。
でも、反応がなくなってきても、心の交流はできます。
ご本人が安心して旅立てるように、やさしく体に触れて、「傍にいます」と伝え続けましょう。
最期まで「あなたの傍(そば)にいます」ということをご本人に伝え続けることです。会話のやりとりを楽しむことはもうできないかもしれません。しかし、言葉のキャッチボールだけがコミュニケーションではありません。むしろこの時期は、静かに寄り添ったり、やさしく体に触れたりすることで、ご本人にご家族の気持ちが伝わるということもあります。by:がんの在宅療養
旅立ちのとき
- 旅立ちの時に医師が不在でも心配はありません。1度でも訪問診療をしていれば「死亡診断書」は書けますので安心してください。
- 訪問看護師、在宅医、どちらが先に到着でも問題はないので、到着を静かに待ちましょう。
亡くなったあと
医師が死亡の診断をした後に、葬儀屋さんへ連絡を入れます。
訪問看護を利用していれば、看護師さんが身体をきれいに拭いたり着替えをしてくれます。
私は医師に連絡した後、顔や身体をきれいに拭いて髭もきれいに剃って、きれいな姿に整えて医師の到着を待ちました。
エピソード
私が支援をした80歳代の高齢夫婦。ご主人が入院をきっかけに認知症を発症してしまい、2年ほど奥様が自宅で献身的にお世話をしていました。食事が摂れなくなって老衰の時期になったとき、奥様は「病院を嫌っていたので家で看取りたい」と希望。奥様は子どもの頃から家庭内が辛く、早く家を出たいと願い続けてご主人に出会い、「主人が私を助けてくれたのです」と訪問のたびに私に昔話を聞かせてくれました。そして最期は、朝食のおかゆを食べさせようとしたら眠るように息を引き取りました。後日、「息子には悪いと思ったけれど、息子が来るまでの時間、2人きりで過ごせてとても幸せでした。」と私に仰いました。病院では決して叶わない最期です。この経験があってから、自宅看取りが私のライフワークになりました。
葬儀屋さん
ここから何日間は、いろんなことを決めたり忙しくなります。
生前に本人の希望を聞いてあればスムーズですが、決めなければいけないことがたくさんあります。
<初めての喪主で気づいたこと>
- 写真はたくさん撮ってあるので心配ないと思っていたけれど、遺影は大きくするのでスマホで撮った写真ではなくプロに撮って貰った写真があれば良いと言われました。
- 「湯灌の儀」はするしないを選べるのですが、本当の最期のお別れとなる儀式で、おくりびとの方がその都度その都度、厳粛に意味などを教えてくれて一緒にさせてもらえて感動のひと時になりました。
おわりに
自宅看取りで良かったこと
- 病院に通わなくてよいので、行ったり来たりの労力がなくなります。
- 病院では常に職員などの誰かがいるため、素のままで本人と過ごすことは難しいけれど、家なので思い切り泣いたり笑ったり、寝たいときに横になったりできます。
自宅看取りで困ること
- 仕事を持っている人は「介護休暇、介護休業」を利用できると安心して看取りに臨めます。
次回最終回は「【自宅看取り】悲嘆回復について」
私がパートナーを亡くした記事